家庭内電力を省エネ100%にする方法
先日友人が環境に配慮し家の電気の契約を水力発電由来100%のものにしたと言っていました.これを機に私も一度電気についてきちんと調べることにしました.
皆さんはどのように電力会社を決めてますか?
2016年から電力が自由化され,各家庭の方針にあった会社を選べるようになりました.
本記事では,環境に配慮した電力会社を選ぶ際に理解する必要のある,環境価値やFIT電力,固定価格買取制度について分かりやすく説明します.
[:目次]
- 再生可能な発電方法とは
- 環境価値について
- FIT電気は省エネではないのか
- グリーン電力証書・非化石証書とは
- 追加性について
- まとめ
1.再生可能な発電方法とは
経済産業省エネルギー庁が公開した「エネルギー白書2018」によると,現在日本では天然ガス,石油,石炭を合わせた火力発電が全体の8割を占めており,水力発電が7.6%,風力,地熱,太陽光などの再生可能エネルギーが6.8%,原子力発電が1.7%となっています.
2.環境価値について
環境価値とは再生可能エネルギーのもつ,環境にやさしいという部分への価値です.
再生可能エネルギーによる発電も,火力発電も電気を生み出す点では同じですが,CO2を排出しないことに対してあらえた付加価値を環境価値と言います.
実はこの環境価値は売買することができます.
例えば,Aという火力発電所がBという太陽光により発電を行っている会社から環境価値を買った場合,買った環境価値の分だけ省エネに協力したことになります.
つまり,Aは火力発電によりCO2を排出していますが,環境価値分の地球に配慮した発電をしたとみなすことができます.
もしAが自社の発電量に匹敵する環境価値を購入すると,実質CO2排出量ゼロの発電をしたことになります.
価値を買うという概念に戸惑うかもしれませんが実際にはグリーン電力証書などの形あるものとして売買されています.
以下のサイトでは環境価値について分かりやすく説明してあります.
3.FIT電気は省エネではないのか
固定価格買取制度(FIT制度)によって買い取られた,再生可能エネルギーを用いて発電された電気をFIT電気と言います.
固定価格買取制度(FIT制度)とは,再生可能エネルギーによる発電を促進するため,国が各電気事業者に太陽光などによって発電された電気の買取を義務付けた制度です.
しかし,各事業所が買い取る際の環境価値に当たる部分は,我々一般家庭が再生可能エネルギー発電促進賦課金として毎月の電気料金から支払っています.
つまり各事業所はFIT電気として,再生可能エネルギーによる電力を買い取っていますが,環境価値については国民が負担しているため,実質的には火力発電によって生み出された電力と同等に扱われます.
そのためFIT制度によって買い取られたFIT電気は環境価値が含まれてないため,省エネではないと考えられています.
引用ページ
4.グリーン電力証書・非化石証書とは
グリーン電力証書や非化石証書は,再生可能エネルギーによって発電された電力の環境価値を表す証書です.
これらの違いは,
グリーン電力証書は,各家庭や各事業所が再生可能エネルギーを扱う会社から購入でき,その利益は売り主のものになります.
そのため,グリーン電力証書が売れると,新たな設備への投資などに使用できます.
一方,非化石証書は,各事業所がFIT電気を買取する際に,環境価値分の料金もセットで支払うことで購入できます.この利益は,我々一般家庭支払う再生可能エネルギー発電促進賦課金から差し引かれます.
つまり非化石証書による環境価値の売買では,再生可能エネルギーを扱う会社は利益を得ることができません.
環境にやさしい電力の購入には追加性が大事になってきます.
参考ページ
5.追加性について
追加性とは,再生可能エネルギーを購入するした結果,新たな省エネ施設を増やすことができるかを表すものです.
引用ページ内では,水力発電について以下の様に述べています.
例えば大手電力会社の水力発電プランの場合、すでにある大型水力発電所から電気を供給するわけですが、そのプランを選んでも新規に発電所が増設されるとは考えにくいです。他の利用者が使う「水力発電の電気」が減るだけで、意味が無いとの指摘もあります。
この様に,環境にやさしい電力の購入は非常大事なことですが,購入した結果,さらに省エネを促進できるかが重要です.
追加性については以下のサイトで非常にわかりやすく説明されてるので,そちらもご覧ください.
6.まとめ
環境にやさしい電力を家庭内に導入するには以下のことを参考にしてください.
- 各事業所が公開している,CO2排出係数(調整後)の低い会社を選ぶ.
- 各事業所の電源構成を見て,再生可能エネルギーや水力発電の多い会社を選ぶ.
- 各家庭内で使用する火力発電分のグリーン電力証書を購入することでCO2排出量を実質0にできる.